あなたは出世欲がありますか?
僕は現在訪問営業の管理職というポジションで部下が56名いますが、もし過去に戻れるなら戻って断りを入れたいです。
部下は全員歳上なので、本当に神経が擦り減る。
仮に年下の部下だったとしてももうやりたくないですけどね。
Yahooニュースにもトピックとして挙がっていましたが、アンケートを取ったおよそ6割が管理職には『なりたくない』という回答があったそうです。
今回は実体験を元に僕なりに考えた管理職になる事でのメリット・デメリットを考察していきます。
管理職になる事のメリット
メリット
①給与アップ(するかもしれない)
②昇進する=会社員としてのステップアップ(になるかもしれない)
③役職名が付く事で社会的信用が上がる
④部下が増える事で責任感が芽生えて労働意欲が増す(かもしれない)
思いつく感じでは上記要素があります。これらを見てもらうとわかるかと思いますが、不確定要素が多いですよね。
もちろん所属している会社の規模によって変わる部分はあります。
誰もが知っているような大企業にいる場合は管理職以上になる事で得られるメリットも大きくなるでしょう。
しかし残念ながらそんな大企業に就職できる方は限られています。
では1つ1つ掘り下げて考察します。
給与
基本給がアップしたら基本的にはボーナスも比例して上がります。
ただ、中には基本給が変わらずに役職手当という形で付くところもあります。
この場合ボーナスの旨味はありません。
そしてボーナスの査定も会社によって変わる部分が大きいかと思いますが、多いケースとしては一般職は個人評価の比重が高く、役職者は部署評価の比重が高くなるので自分だけが頑張っていたら良いという事ではなくなります。
また、残業代や休日出勤手当も管理職は支給がされない事が多いです。
役職者になったら一般職の時よりも確実に給与が上がると確約はできないでしょう。
実際に一般職よりも給与が低い、またはほとんど変わらないという管理職も多いはずです。
会社員としてのステップアップ
役職が付く事でステップアップする事もあるかと思います。
ただ、これも一概に必ずそうとは言い切れない要素です。
世間には名ばかりの管理職は山ほどいて、ただ責任を押し付けられているだけというケースも多いです。
給与もほんの少ししか上がっていないのに、業務量・責任だけが増えてしまう事もあるでしょう。
そして同じ会社に生涯在籍し続けるというのならば、管理職を目指しても良いと思いますが、このご時世1つの会社に勤めあげるという事自体が少なくなってきています。
あなたは今の会社にずっと居続けますか?
旨味が出てくるであろう中間管理職以上の役職までのし上がるにはそこから相当の時間を要します。
社会的信用
これは確定の要素でメリットと言えるでしょう。
逆に言えばこのくらいしか確定的なメリットは無いかと思います。
一般職よりも主任、マネージャー、課長の方が第三者から見ても信用力はありますので、ローンなどの審査には有利に働きます。
部下が増える事による責任感
この要素はポジティブに考える人であれば良い方向に働くかと思いますが、大多数の人は疲弊やプレッシャーの原因となるでしょう。
管理職になる事で給与が2倍以上に跳ね上がるのであれば、業務や責任が増えても「それなりの給与をもらっているんだから仕方がない」と思って頑張る事ができるかもしれませんが、ほとんどの会社はそんなに給与が上がる事はありません。
恐らくあなたが管理職になる事で任される業務量や責任は一般職時代の倍以上はのしかかってくるでしょう。
貰っている給与と天秤にかけて納得ができるのであれば良いと思います。
納得ができなければこれもメリット要素としては不確定です。
管理職になる事のデメリット
ではデメリットはどのような要素が考えられるでしょうか。
デメリット
①給与に見合わない業務量・責任
②残業代が支給対象外
③時間外での対応増加
④部下と上司との板挟み
ざっくりと出してこのくらいでしょうか。
給与に見合わない業務量・責任
現在管理職の方で自分の給与は任されている業務量やのしかかる責任に見合っていると思う方は何割いるんでしょうか。
Yahooニュースで管理職になりたくないという人が6割もいるという事は、立場に対しての報酬に納得していないであろう上司を目の前で見てきたからだと思います。
つまり現代では管理職は良いように扱われているだけのポジションが多くなってきているんでしょう。
実際に僕の会社でもそうです。
上司を見ていて思う事ですが、将来的に更に上の同じポジションになりたいとはとても思えません。
恵まれた労働環境がある会社であれば考えは全く違ったものになるかと思いますが、そんな方は極めて少ないでしょう。
残業代が支給対象外
管理職は労働基準法上の『管理監督者』に該当するのであれば法律上残業代の支給はしなくても良いという事になっています。
管理監督者は経営者と一体的な立場で業務を行う者という定義ですが、おそらくどの会社も残業代の支給を求められた時用に対策はしているはずです。
管理者になったら年収が下がったという場合は管理監督者としては認められないなど様々なケースがありますが、会社もバカではありませんのでそのあたりはきっちり調整してくるでしょう。
時間外での対応
管理職になれば時間外での対応も一般職より多くなるでしょう。
しかも対応が杜撰になれば今まで以上に責任の追及がされます。
それが例え時間外であったとしてもです。
会社とはそういうものなんです。
上司は「今まで自分ができていたんだからお前もしなければならない。」と言ってきます。
同じような業務ができる人間が部署内に複数いれば、対応も分散できて負担は軽減されるかと思いますが、人件費を考えるとそこまで人員配置は難しいのが現状だと思います。
管理職になってプライベートと仕事を上手く両立できている人は恐らくどこで何をしても成功できる人でしょう。
部下と上司との板挟み
人間関係も一般職時代と比較すると複雑になります。
部下への対応をおろそかにするとトラブルも増え、いずれは退職者が出てあなたの上司から管理体制を問われ叱責されるでしょう。
逆に上司からの指示をおろそかにするとあなたの評価は当然下がります。
上手くバランスを取りながら対応をしていかなければなりません。
これらがストレスの蓄積となり、メンタルがやられてしまう要因にもなりかねません。
中途半端な気持ちで管理職になるとかなり厳しい現実があります。
まとめ
管理職になる事でのメリット・デメリットを考察してみました。
今の若者は出世欲が無いなど世間では言われていますが、現状を鑑みると仕方のない事じゃないでしょうか。
管理者をやる気にさせる・発奮させる要素が少なすぎると思います。
そもそも管理者と言うものは名の通り『管理する者』です。
それができている人がどのくらいいるんでしょう?
実際は管理者が現場に出て対応しなければならない『プレイイングマネージャー』になっています。
そうなれば一般職時代と同じように仕事をしつつ、管理職としての業務も行わなければならない為、長時間労働になる事や長期的に見るとガタがくるのも目に見えています。
つまり世にいるほとんどの管理職が選手兼監督の状態です。
果たしてそれを管理者と言えるでしょうか。
会社がもっと管理者に対してのフォローやケアなどを積極的にしていかなければ本当にそのうち会社員としての出世欲がある人は0になってしまうと思います。
個人で起業する人や副業を始める人が増えているという事も背景にはこのような事があるからかもしれませんね。